フロン排出抑制法について中小事業者がやるべき事をまとめてみた

フロン排出抑制法

成27年4月1日から施行された法律「フロン排出抑制法」について、簡単に分かりやすくご説明いたします。対象は中小規模事業者向けです。

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居酒屋の店長

う~ん、役所からお達しが届いてたかもしれないけど、分かりにくくて放置してるのよね。忙しいし。

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修理マン

きちんと管理しないと罰則があるんだよ。これを機にしっかり勉強して正しい知識を習得しよう!!

飲食店等の厨房を持つ施設、冷蔵管理の物販を経営されている方は、ほとんどの方がこの法律の管理者として該当します。罰則規定もあって、遵守しなければならない法律なのですが周知されておりません。

例えば飲食店を例に挙げると、フロン排出抑制法の対象になる機器は以下の通りです。

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  • パッケージエアコン
  • 業務用冷凍冷蔵庫
  • 業務用エアコン
  • 業務用製氷機
  • ビールサーバー、冷水機等
  •  
MEMO
家庭用の機器はフロン抑制法の対象外です

この法律の施行により、機器の所有者、ユーザーの責任が増加しました。しかし、やるべき事をきちんとやれば、問題ありません。あなたのお店の対象機器を把握し、定期的に記録するだけです。問題は「何をやればいいのか非常に分かりにくい」事です。正直、環境省やJARAC(冷凍空調設備専門業者の全国団体)のHPを見ても非常に分かりにくい。

だからこそ、業務用冷凍冷蔵機器に携わる者のとして最大限分かりやすく皆様にお伝えできればと思い、簡潔にまとめましたので是非ご覧ください。

フロン排出抑制法

一体この「フロン排出抑制法」とは何でしょうか??何のために作られた法律なのでしょうか?環境省のホームページを見ても分かりにくくて全体が把握しきれませんが、下記の点を抑えておけば十分です。 

  • フロンガスを使用している機器類はきちんと管理する
  • フロンガスは地球温暖化にとても悪影響を及ぼす為、放出しない

この法律の背景には、世界中で対策が必要とされている地球温暖化があると理解して頂けるとよいかと思います。

フロンガスは地球温暖化をもの凄く加速させるから、みだりに放出する様な事は絶対ないようにしろよ!という事です。

この法律は地球温暖化の影響を減らす為の法律と言っても過言ではありません。それではフロン機器類の管理者(店舗経営者)が何をするべきなのかを確認していきましょう。

罰則規定

最後に、フロン排出抑制法の義務に違反した場合は罰則があります。

・ フロン類をみだりに放出した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金
・ 機器の使用・廃棄等に関する義務について都道府県知事の命令に違反した場合、50万円以下の罰金
・ 算定漏えい量の未報告・虚偽報告の場合、10万円以下の過料。

管理者が実施する事

「管理者」とは所有権を有する企業・法人が該当します。簡単に言うとオーナー(社長)の事ですね。契約内容によっては違う場合もありますがここでは割愛します。
 また、管理者の遵守事項としては以下のものがあります。 

① 機器を適切に設置し、適正な使用環境を維持し、確保すること。

② 機器を点検すること。
 ・簡易点検
 ⇒全ての機器に対して、3カ月に1回以上の簡易点検を行わなければならない
 ・定期点検
 ⇒定格出力が一定以上の機器については、定期点検を行わなければならない。

③ 機器からフロンが漏えいした時に適切に対処すること。

機器の点検・整備に関して記録し、保存すること。

上記項目を1つ1つ解説していきます。

① 機器を適切に設置し、適正な使用環境を維持し確保する
設置環境が悪くない限り大丈夫。無視してOK。

② 機器を点検すること


点検には簡易点検定期点検の2種類ありますので、2つに分けて整理します。

【簡易点検】

使用する全ての業務用冷凍空調機器について、四半期に1回以上行わなけれなりません。簡易点検は機器ユーザーが自ら実施することが求められています(専門業者に依頼してもよい)。

また、原則として目視確認で容易に点検できるレベルです。(危険な場所や工具を使用して点検する必要なし)専門知識は必要ありません。

<必要点検項目>

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点検項目の分かりにくい部分だけ解説します 。

※1の「熱交換器の霜付き」とは、冷やす部分に氷がついていないか?という事です。縦型業務用冷凍庫の熱交換器(蒸発器)の霜付きを見てみましょう。

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赤丸の部分を目視確認し、霜付きが確認出来ました。分解すると氷がびっしり着いていました。管理者の方は分解する必要はありません。赤丸の部分にライトを当てて氷が着いていなければOKです。

ショーケース、プレハブ冷凍冷蔵機器も基本的には同じ構造なので、冷やす部分に氷が着いていないか目視点検しましょう。

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冷やす部分がショーケースの底面ではなく、背面についている場合は簡単には確認出来ません。点検窓があれば確認できますが、そうじゃない場合は分解しなければならないので確認不要です。

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※2の「配管の油のにじみの有無」はハッキリ言ってほとんど分かりません。そもそも油がにじんでいた場合は、その時点で冷えていないはずです。一応目視確認して問題なければそれでOKです。

<熱交換器(凝縮器)の確認場所>

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<熱交換器>(実際の熱交換機というのはゴミや空気中の油が付着し、かなり汚れています。どれが油のにじみなのかは専門業者でもない方が判定するのは無理がありますので、よほど変形したり、集中的に油を吹いてない場合は問題ありません。

【定期点検】

能力の大きい圧縮機を使用していた場合は定期点検を行わなければなりません。ただ、中小規模店舗の場合ははほとんどないと思われますが、あるとすればエアコンです
大きい能力の冷凍冷蔵機器を使用している場合は、必ず銘板を確認してください。業務用冷凍機器であれば庫内の横側に、室外機であれば正面か横側に銀色のステッカーが貼られていますのでそこを確認すると確実です。

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緑の枠内の電動機の消費電力を確認し、7500W(7.5kW)以下なら定期点検無しでOK。

また、定期点検は簡易点検とは違い、「十分な知見を有する者」が行わなければなりませんので業者に依頼しましょう。

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注意!!

簡易点検か定期点検のどちらか一方を実施するのではなく、「定期点検の対象機器は、簡易点検に加えて定期点検を実施する」のが正しい解釈です。 

③ 機器からフロンが漏えいした時に適切に対処すること

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「機器からフロンが漏えいした時」は、冷凍冷蔵機器(エアコン)が冷えなくなった時、業者に修理を依頼してフロン漏えいの診断を受けた時になります。
専門の知識と道具が必要なので、自分ではまず判定出来ません。

また、フロンが漏えいした場合、冷蔵庫(エアコン)は冷えませんので食材が傷みますよね?その場合は1回だけはフロンの応急補充が出来ます(本修理を実施する事を前提に)。2回目以降はこのフロン排出抑制法により不可になりました。

冷凍機能が維持できずに飲食物等の管理に支障が生じる等の人の健康を損なう事態や、事業への著しい損害が生じないよう、応急的にフロン類を充塡する必要があり、かつ、漏えいを確認した日から60日以内に当該漏えい箇所の修理を行うことが確実なときは、1回に限り充塡することができることとしています。


環境省HP(https://bit.ly/2WofxeG)より一部抜粋 

フロンを充填する場合は確実に修理する、もしくは新品に入れ替える事が前提となりますので注意しましょう。

④機器の点検・整備に関して記録し、保存すること

機器1台ごとに点検・整備記録簿をつけ、機器の廃棄まで保存しなければならない。管理者の義務として記録・保存が求められています。役所に指摘されない為にも管理徹底する事が大事です。そこまで面倒くさいものでもありませんので。
管理の仕方が分からない方もいらっしゃるかと思いますが、便利なフォーム(エクセル)も無料でダウンロードできますのでプリントアウトして是非ご活用下さい。 


日設連HPより ☞ https://bit.ly/2uvehup

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エクセルのシート別に記録簿、記入例、注意事項等あります。自分の使いやすい書式に編集可能ですので非常に便利。この様式で記録すれば間違いありませんので是非活用しましょう。

また、一定量以上のフロンが漏えいした場合は国に報告義務がありますが、中小規模事業者はそこまで達する事はほぼありませんのでこちらは割愛します。 

まとめ

①冷凍空調機器の簡易点検・定期点検

・全ての機器を対象に、簡易点検の実施(3 ヵ月に1 回以上)
・対象機器については、定期点検の実施(専門業者に依頼)
「十分な知見を有する者」いわゆる「冷媒フロン類取扱技術者」等が実施する。

②漏えいを発見した場合には、速やかな漏えい箇所の特定及び修理を実施

・冷凍機能が維持できず人の健康を損なう事態や損害が生じないよう、応急的にフロンを1回に限り充塡する事が出来る(2回目以降は禁止)。ただし、漏えいを確認した日から60日以内に当該漏えい箇所の修理を行うことが確実なときに限る。

③点検・修理やフロン類の充塡・回収等の機器整備に関する履歴の記録・保存義務

機器を廃棄するまで保管しなければならない。

④機器を廃棄する際は、フロン類を回収しなければならない

・機器を廃棄するときには、行程管理票を使用して充塡されているフロン類を回収しなければならない。

<参考>
環境省  フロン排出抑制法(https://bit.ly/2JPpr7N

日本冷媒環境保全機構(https://bit.ly/2V3PhWK

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